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意味があるとかないじゃなくて

君のことが好きだってただ言えるのなら単純だけど

蝉とバッタ


生田斗真浅野忠信・山田涼介
映画『グラスホッパー

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去年の情報解禁からずっとこの日を待ち望んで、楽しみにしていた映画です。こんなに1本の映画を待ってたのって初めてかも。公開日に観に行くことはできなかったけど。
わたし個人としては、ひかるくんが好きと言いながらJUMPの活動は追いかけたい人だから、ムビチケを買い、雑誌も(ビジュアルだけは)ほぼチェックし、WSも録画し、パンフも買うほどの臨戦体勢整えてました。

万全の体制を整えて臨んだ映画の感想を蝉中心に思いつくまま書き留めていこうと思います。ネタバレあしからず。



まず冒頭のハロウィンのシーン@渋谷スクランブル交差点。裏組織「フロイライン」に操られた薬中男の暴走車による大量殺人。犠牲者を目の前にした人々が悲鳴に包まれる傍ら、死体の写真を撮ってLINEで送ったりSNSにアップする人の上空を、群集になることで黒く変色したグラスホッパートノサマバッタ)の群れが飛び交うというなんとも奇妙なシーンです。
さすがに血を流した死体を撮る、なんてことは非常識極まりないしありえないことだろと思ったけれど、意図はそこじゃないもんね。
“人も然り”。
トノサマバッタは黒く変色し凶暴になるという習性を、人にあてはめながら、これから始まる奇妙な世界に誘っているように感じました。
それにしても黒いバッタってキモチワルイね(笑)
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そして

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これまで探偵とか普通の息子を演じてきた本業はキラキラ王子様の山田涼介が、殺し屋になるとは、一体。
暗殺教室のヒットが記憶に新しいけれど、人を殺すことでしか生を感じることができないナイフの使い手という殺し屋は、ファンも世間一般も想像できない役どころ。でもおたくの殺人鬼姿を見てみたいという割とあるあるな願望は今年やっと達成されたのです( ˆoˆ )/やったー!しかも銀幕デビュー作が殺し屋なんて、そんな特別感のあるデビューありますか。ないよ。

そんな誰もを裏切る蝉の山田は、本当に凄かった。まず体の動き方が独特。上半身がまったく動かず滑るような移動の仕方(歩き方)をするんですね。
そしてナイフさばき。斗真くんの練習スタジオに通ってまで練習したというナイフさばきは圧巻。人の壊し方を勉強したと言っていたけど、本当に初っ端から頸動脈斬りまくり。
言葉は悪いけど、この瞬間から蝉の目がもう逝ってた。蝉が仕事をする時の耳鳴りは私たちにも聞こえるように作られているので、進むにつれて蝉に引き寄せられるのが怖いところです。
すべての仕草から殺し屋の風格を漂わせていたし、それを突き詰めた山田にプロ意識を感じます。

そして面白いのは散々人を信じようとさせないでおいてから、岩西役の村上淳さんとの絡みが出てくるところかなと思います。立て続けに鯨と蝉が仕事をし、殺人を見せられた後で蝉は岩西の事務所に顔を出します。そこでは相手のことを相棒だなんて一言も言わないし、途中で岩西が自分を「雇い主だ」なんて口を滑らすまで蝉は少しもそんな言葉を使わない(けど態度には出ている)けど、実はお互い良き相棒だと思っている。人殺しとしじみの砂抜きを生きる証にしていた蝉にも人間らしさを感じる一瞬です。


物語が進むにつれて、鯨と蝉が交わっていきます。互いを殺すという目標を持つのです。鯨はすべてを終わらせるため、蝉は岩西の仇を討つため。ただ、なんだかんだでそれらしい理由をつけながら、きっと最終的に2人ともなぜ自分がそんなことをしているのか多分理解していないと思います。すべてを清算して、新しく生きるために現れた鯨。生と死という両極端な事象を並べることで生を感じる蝉。共通点があるとするなら、「生きるため」に殺す、というところでしょうか。


最後のバトルシーンでは、目にも留まらぬ速さで2人が殺し合います。エレベーターの扉が開くと同時に蝉が現れ、最後の殺人の幕開けです。蝉は耳鳴りを止めるために人を殺してきたと言い、最終的には耳鳴りのする左耳を自ら切り落とします。確かにエグいし、R12も理解できる(笑)でもその時の表情がほんとに凄い。おたくはまず顔自体を見慣れているし、それなりにアイドルとしての人となりを知ってるからこその邪念というか先入観みたいなものが入りがちだけど、そういうのを一切取り払って見ると本当に苦しそうで、痛そうで、切なそうな、でも達成感の滲む表情をしています。凄いよね。

結果2人して飛び降りるという終わり方をするのですが、その後自分たちの死体を眺める霊として2人が現れ、その横を生身の人間・鈴木が通り過ぎます。パンフレットにも見開きで載せられてる写真のシーン。鈴木にしてみたら誰だよコレ、ってかんじだろうし、2人から見てもなんだコイツ、ってなるんだろうね。それまでに会ってないから。でも、実は同じ一連の事件に関わっていた。その事実を互いが知らないというところに、現実の世界が描かれているような気がしました。知らなければ知らないままだし、関わらなくても生きていける。でも実際はどこかで繋がっているかもしれないし、そうじゃないかもしれない。情報に溢れる世の中で、そんな狭間を生きているんだ、という事実を突きつけられただけのように思います。

安直に「この謎を解決します!」とか「こんな教訓を伝えたいんだ!」っていうお話ではなく、ただ事実を見せられただけ。「こんな世の中だけど、どうやって生きていく?」って言われてるかんじ。

見終わった後は昨年ひかるくんの舞台『殺風景』を観た後のような疲労感に襲われました。疲れた(笑)誰が見てもわかるような明確な提示物のない作品はこんな疲労感に襲われるし、そういうものはあなたはどうする?って問われてるんだろうなと思うようにしました勝手に(笑)


個人的にグロいのが苦手なので、劇場で観るのは1回だけだけど、DVDとかになったらもう一度確認の意味で観たいと思います。捉え方も変わりそうだし。 

映画界を背負う名俳優になるのではと噂されるほどにもなった山田涼介が、これからどんな役を演じどんな表情を見せてくれるのか楽しみにおたく生活続けたいと思います!