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なんとなく本が読みたくなって、なんとなく本屋に入って、なんとなく手にしてた本をついさっき読み終わった。
これです☝︎
テーマは、
『女性が一生のうちにもらう贈り物』
12の短編小説です。
中でもお気に入りは、「#2 ランドセル」。
今回はその内容を、共感した部分を中心に少しだけご紹介します。
#2 ランドセル
全部わかっているから、私は絶望した。幼稚園児の絶望なんてたいしたことないと思うかもしれないが、世界が狭いぶん、絶望の色合いはうんと濃いのだ。だってそこしかいるところがないんだから。
幼稚園児の主人公は、自分が他人より「出来ない子」であることを自覚しています。そして、幼稚園児なりに絶望する。ただし、その絶望は狭い世界なりのものだと、今(大人)になって振り返ります。
そして、小学校に進学。
ひょっとしたら赤いランドセルは、もしくは奇妙なにおいのする四角い空洞は、私にとって扉だったのかもしれない。なぜなら私はかつてのように絶望しなくなったから。
真新しいランドセルを手にして、自分の全財産が入ると知った主人公は、何かあればランドセルに全て詰め込んで逃げ出せばいいと考えるようになります。おはようと言われればおはようと返せばいい。そうすることで絶望から離れ、少しずつ自分の世界を広げていくのです。
そうして私は、二十七歳になりながら、なんにもわかっていないことに気がつくのである。人が死ぬことがどんなことなのか、(中略)まるでわからない。すごいな。かつてはあんなにわかっていたのに、私はどんどんわからなくなる。大人になるってのは、こんなふうにわからなくなることなのか。
そして大人になって、広がった世界を前にして、途端に自分が無知であることを知ります。「かつてはあんなにわかっていたのに」。目の前の世界についていけない自分がいる。こんなにわかってなかったっけ。いや、わからなくなったのか。そうして、大人になることはわからなくなることなのかと思うのです。これが今の私。(笑)
これじゃ逃げられないよ。私は静かな部屋のなか、ひとりごとを言う。失ってばかりのような気がするけれど、それでも私の手にしているものは、ランドセルに詰めこめないくらいたくさんなのだ。逃げるわけにはいかない。もう少し、ここでなんとかふんならなくては。
わからなくなった自分に戸惑いながらも、まぁなんとかなるさとふんばろうとしている人ばかりなのかもしれません。私もがんばろう。
そう思えた1冊でした。
就活中の荒んだ心にしみたなぁ〜〜(笑)
オススメです。